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2024.10

CANARIS

カナリス

捉えどころのない「異界の夜景」を演出

 

 
大阪梅田、阪急32番街のフレンチレストラン『canaris 』。夜景を安全な場所から「眺める」ための空間ではありません。それは日常の法則が通用しない、二人だけが迷い込む、夜の「異界」への入り口です。
 
 
私たちはまず、エントランスからの導入部分を外界の光が届かない、静まり返った洞窟のようにデザインしました。ここは、現実から切り離され、意識が内へと沈み込んでいくための、どこか神秘的な仕掛けです。
そしてその静寂を抜けると「鏡」が奇妙な作用を始めます。天井や壁面に張り巡らされたミラーは、窓外に広がる無数の光「まるで灯籠流しのような夜景」を内部空間へと無限に反響させ、現実の座標軸を歪めます。
 
 
自分がどこにいるのか、目の前の光景は本物なのか。
夜景の中に自分がいるのか、それとも夜景そのものが自分の中に侵食してくるのか。その境界は溶け合い、奇妙で甘美な眩暈にも似た感覚へと誘います。全席を窓へ向かう二人掛けのシートや床の段差を利用して、この捉えどころのない「異界の夜景」の深淵へと、誰にも邪魔されずに、二人だけで静かに引き込まれていくための仕掛けとしました。
 
 
私たちがデザインしたのは、ただ美しいだけではない、どこか不思議で忘れられない一夜の「夢」なのです。
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